近年「企業の社会的責任」という観点から、大量の生ごみ廃棄について問題解決に取り組むことが求められています。
循環型社会形成推進基本法では「事業者の責務」として、事業において扱われる原材料が廃棄物となるのを抑制するために必要な措置をする、それがリサイクルできる資源になる場合はそうした利用を行うなどといったことが定められています。
本ページではこうした業務用生ごみ処理機に関係する「基礎知識」を紹介しています。導入前にぜひチェックしてみてください。
企業や施設、店舗などで導入が進んでいる業務用生ごみ処理機。活用することでどんなメリットを得られるのかまとめました。
生ごみ処理機を活用することで、生ごみの分量を大きく削減できます。生ごみを捨てる手間を減らせるうえ、ごみの少ない企業や施設として環境保全に貢献できるでしょう。
生ごみを放置することは、集団感染のリスク増加につながります。放置された生ごみに細菌やウイルスが発生することで、生ごみから作業員へと感染し、集団感染を引き起こすおそれがあるのです。
とくに人の唾液が付いた生ごみは細菌やウイルスの繁殖力が高いといわれていますから、生ごみを放置せずに処理することが大切です。生ごみ処理機を活用すれば感染リスクの軽減につながり、衛生的な環境づくりに役立つでしょう。
通常、企業から出る膨大な廃棄物の処理には莫大なコストがかかります。しかし生ごみ処理機を導入する場合は自治体によって異なるものの、助成金制度を利用できることも。「ごみ処理のコストが気になる…」という場合は、生ごみ処理機の検討、および利用できる助成金がないかチェックしてみると良いでしょう。
可燃ごみとして廃棄する生ごみの量を減らすために、企業や施設でも業務用生ごみ処理機を導入することは有効です。
業務用生ごみ処理機を購入するにあたり、助成金を出してくれる自治体があります。
ここでは助成金制度のある自治体を複数ピックアップし、その条件や上限金額などについてまとめました。
※掲載している自治体は一例です。ほかにも助成金制度のある自治体はありますので、施設の所在地と各自治体を確認したうえで問い合わせてみてください。
※掲載している助成金制度の条件・上限などは一部です。詳しくは各自治体の公式HPをご覧ください。
自治体 | 対象となる店舗・事業所の条件 | 上限・範囲 | 情報参照元 |
埼玉県久喜市 | ・設置した処理機器を6年間以上継続して使用すること ・処理機器によって作られた堆肥や飼料は、事業所の責任で処分すること など |
本体費用+設置費用の2/3。上限200万円 | http://www.crt-kuki.miyashiro.saitama.jp/business/compost/ |
千葉県千葉市 | ・前年度月平均200kg以上の食品残渣が発生していること ・設置後7年以上継続して使用できる見込みがあること など |
補助対象経費の2/3。上限200万円 | https://www.city.chiba.jp/kankyo/junkan/sangyohaikibutsu/gomisyorikihojo.html |
石川県金沢市 | ・生ごみ処理機を設置し、生ごみ(事業系一般廃棄物に限る)を適切に処理することができること ・生ごみ処理機の使用状況調査や処理量の報告に応じられる など |
購入費用またはリース費用の1/2 上限 購入:100万円、リース:年間20万円 |
https://www4.city.kanazawa.lg.jp/25003/download/jigyou/haikibutsu/15_2.html |
宮城県仙台市 | ・市内に事業所、工場、店舗等を所有又は管理しており、事業系一般廃棄物に当たる生ごみを排出している、または将来において排出する見込みであること など |
購入および設置工事に要する費用の2/3。上限200万円 | https://www.city.sendai.jp/haikishido/namagomi/hojyo.html |
神奈川県鎌倉市 | ・多量排出事業者にあっては、同条例第16条の2に定める減量化及び資源化計画書を提出していること など |
本体費用に設置費用を加えた額の1/3。上限100万円 | https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/gomi/jigyoukeioogatanamagomisyoriki.html |
飲食店や宿泊施設で毎日大量に出る生ごみ。生ごみを処理するにはコストがかかります。コストを削減するために導入したいのが業務用生ごみ処理機。自治体では生ごみ処理機を購入またはリースをする場合、助成金制度を設けています。自治体ごとに条件が異なるため事前に確認が必要です。損をしないように助成金を活用しましょう。助成金申請について詳しくご紹介します。
生ごみ処理機を導入した場合にはさまざまなコストが発生します。例えば、「本体購入費用(付属品含む)」または「リース料金」、「設置工事費用」「電気料金」「メンテナンス料金」が挙げられます。処理機にかかるコストを削減するポイントは、ランニングコストを抑えることであるため、導入前にしっかりと確認しておきましょう。
また、生ごみ処理機導入に関する補助金や助成金の利用も検討することがおすすめです。
業務用として普及している生ごみ処理機では、大きく分けて3つの処理方式があります。
国内の法律だけではなく、2015年に採択された「SDGs」の17の目標のひとつにも、「持続可能な消費生産形態を確保する」といった文言が掲げられています。( 参照元URL:[PDF]外務省公式HP )
生ごみ処理機の導入・運用によって、なるべく可燃ごみとして廃棄する生ごみの量を減らすことは、このような環境に配慮した取り組みにつながります。
菌の働きで生ごみを分解処理してくれるのがバイオ式の生ごみ処理機です。生ごみは水・二酸化炭素・有機物に分解され、有機物は肥料として活用することが可能です。消滅型と堆肥型の2種類があります。
生ごみに温風をあて、生ごみを乾燥させることで分量を減らすのが乾燥式です。生成物は堆肥として活用可能。ただ、減らせる分量が少なく生成物は別途廃棄する必要があります。また、温風をあてることによる消費電力や燃料費がかかるため注意が必要です。
高温で生ごみを炭化させるのが炭化式の生ごみ処理機です。生成物は堆肥や土壌改良剤として活用可能。生ごみの分量は減らせますが、焼却炉として利用しているとみなされた場合、ダイオキシンをはじめとする有害物質の排出基準など法的な問題が発生します。また、炭化するための消費電力や燃料費は高めです。
生ごみは通常、不要な廃棄物と思われがちですが、実は再利用可能なエネルギー資源「バイオマス」として利用することができ、温室効果ガスの削減にも役立っています。バイオマスとは、石油などの化石資源を除いた、動植物由来の再利用可能な有機性の資源のことです。生ごみの他、木材、海草、紙、動物の死骸やふん尿、プランクトンなどが該当します。
何種類かあるバイオマスのうち、生ごみは廃棄物系バイオマスに分類されます。生ごみの利用用途は、飼料化、堆肥化、メタンガス化、エタノール化、固形燃料化があります。
生ごみ処理とSDGsには深い関係性があります。生ごみを焼却すると二酸化炭素が発生し、地球温暖化が進行します。また生ごみが焼却された後には焼却灰が残るので、灰を埋め立てるための土地が必要ですが、日本ではごみ埋立地の新たな確保は難しいのが現実です。その他の国に運ぶとしても、ごみ埋立地となった国が残ります。
そのため地球環境を守るためには、ごみ全体はもちろん、毎日排出される生ごみを減らすことが急務です。生ごみとSDGsの関連性について知っておくことが、地球環境保護のためには大切となります。
2021年3月に環境省が発表した令和元年度のデータによると、日本のリサイクル率は19.6%という結果が出ています。ヨーロッパ全体のリサイクル率平均は40%となっており、日本のリサイクル率の低さが伺えます。日本のリサイクル率を向上させるためには、生ごみの堆肥化が役立ちます。リサイクル率上位を誇る各国では生ごみ対策に力を入れており、それがリサイクル率の向上に繋がっているのです。
リサイクル率はSDGs目標達成に大きく関わりのある要素の一つです。生ごみの堆肥化を進めリサイクル率が向上すれば、SDGs目標達成に大きく近づけます。
食品リサイクル法は、食品関連事業者に対して食品廃棄物の削減に関する目標を定めている法律です。削減方法には「発生抑制」「再生利用」「熱回収」「減量」という4種類の方法があり、生ごみ処理機を使用した削減は、このうち「減量」に該当します。
特に多量の生ごみが発生する事業者にとって大きく関わる法律となっていますので、どのような内容なのか確認しておきましょう。
食品廃棄物が不正転売され、食品として流通するという事案がありました。以来、食品廃棄物の不正処理に対して監視等が強化され、排出事業者に対する罰則等も厳しくなりました。食品廃棄物の適正な処理について解説しています。
飲食店や施設などで出る生ごみは「事業ごみ」として処分する必要があります。適切に処理できていないと、重い罰則が科せられるので注意してください。コスト削減のためにも生ごみ処理の最適化を行い、業者を今一度見直してみましょう。見直すポイントを詳しく解説しています。また生ごみ処理機の導入の検討もおすすめしています。
生ごみ処理機の中には生ごみの臭いが発生してしまうものがあります。生ごみの臭いがする原因や臭いが出ないようにするのはどうすれば良いのか、この記事では、生ごみ処理機から臭いが発生する原因と対策について解説しています。
生ごみを放置してしまうと、腐敗が進むことで細菌やウイルス・害虫の発生や悪臭を放つようになります。また、作業者が細菌やウイルスに感染してしまうことで、店舗や福祉施設・教育施設などで集団感染するリスクが出てきます。生ごみを放置しないことがこれらの対策となります。業務用生ごみ処理機には、生分解や食品衛生管理基準(HACCP)仕様に準拠した機種もあるため、自社の状況にあった製品を選びましょう。
生ごみはきちんと処理しなければ悪臭を放つため、周囲からのクレームに繋がりかねません。クレームに繋がる要因には何があるのか、どういう対策を講じておくべきなのかを知っておくことで、トラブルも未然に防げるでしょう。ここでは生ごみ処理においてよくあるクレームやそのクレームが発生する原因について紹介・解説しています。
生ごみは重量や体積が大きく、放置すると悪臭や害虫の原因となるなど、減量化と適切な処理が欠かせません。生ごみの減量化・削減では「濡らさない」「絞る」「乾燥させる」ことが重要ですが、効果的な対策の一つとして生ごみ処理機の導入があります。
生ごみ処理機には、「消滅型」「堆肥型」「乾燥型」の3タイプがあります。それぞれメリット・デメリットがあるため、生ごみ処理機を導入する際は、それぞれの特徴を理解して選ぶことが大切です。特徴を知ることで、自社に合った生ごみの処理と減量化・削減が実現できます。
業務用の生ゴミ処理方法は主に自社で処理する、リサイクル業者に依頼するの2つです。自社での処理は生ごみ処理機を導入することにより、効率的かつ、低コストでおこなえますが、処理後の堆肥(生成物・残渣)をどのように扱えばよいのか、迷う場合もあるでしょう。そこで、本記事では生ごみ処理後の堆肥の活用方法や問題点について解説していきます。
近年はIoTと呼ばれる技術がさまざまなところで用いられています。IoTは「モノのインターネット」と訳される技術ですが、これまでインターネットにつながっていなかったあらゆるものをインターネットに繋げることを指しています。
業務用生ごみ処理機もIoT技術により、活用の幅を広げられるようになります。どのような活用方法があるのかを見ていくことにしましょう。
飲食店や宿泊施設、学校、介護施設などでは毎日大量ごみが発生します。業務用生ごみ処理機を検討しているけれど、「コストが高いので導入に踏み切れない」「実物が見たい」と悩んでいる施設の担当者もいることでしょう。購入する前に展示会に参加してみませんか。展示会に参加するメリットや展示会をまわるポイント、業務用生ごみ処理機が出典されている展示会情報についてご紹介します。
活用することで衛生環境の改善を図り、生ごみ廃棄の手間を減らせる業務用生ごみ処理機ですが、設置・運用によるリスクもあります。
環境省によると、平成15年11月、神奈川県のショッピングセンターにおいて生ごみ処理機が爆発し火災が起こる事故が発生。火災原因調査の結果、爆発の原因は生ごみ処理機の撹拌装置が停止したにも関わらず、加熱が継続されたことにあるようです。また、この事故のほかに、誤操作による発煙事故などの事例も報告されています。
こうした背景から、環境省では「加熱を伴う業務用生ごみ処理機における安全対策指針」を作成。この安全対策指針は平成17年6月22日に公布され、温度管理装置などの機器・設備から運転管理まで安全対策のための細かい指針を設けました。
参照元URL:環境省「加熱を伴う業務用生ごみ処理機における安全対策指針について」
食事を提供する施設や、食品を製造する工場などでは、日々発生する生ごみの処理に頭を悩ませるケースも多いでしょう。例えば処理業者に引き取りを依頼する場合でも、毎日の回収は難しいため生ごみをためておく必要が出てきますが、その期間に悪臭が発生することもあります。
そこで、こちらの記事では業務用生ごみ処理機の導入事例についてご紹介しています。処理機の導入によりどのような課題を解決できたのか、という点も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
業務用生ごみ処理機の処理能力は「1日に処理できる生ごみの最大量」で定義され、これによって規格が分かれています。しかしこれはあくまで「1日に」処理できる生ごみの最大「重量」。機械の容積がその重量分担保されているとは限らないのです。
つまり、一概にその処理能力の分一度に投入できるわけではないと言えます。これにより、複数回に分割して投入する必要や、そのために生ごみを一時的に保管する手間が発生する可能性もあります。
設置するスペースが限られている施設なら、コンパクトな機械も魅力的です。しかし、設置スペースが確保されているなら、生ごみが大量に発生する場所に導入する場合は、処理能力の重量分だけ容積が担保されている機械を選ぶのが良いでしょう。
容積は機種や仕様によってまちまちなので、詳しくはメーカーに問い合わせてみることをおすすめします。
消滅型「ゴミサー/ゴミサポーター」
生ごみ減容率 | 99.9% |
生ごみの処理後の形態 | 水と炭酸ガスに分解 |
メンテナンス頻度 | 特殊なメンテナンス必要なし |
メンテナンス内容 | ー |
販売年数 | 25年(1997年~) |
堆肥型「バイオクリーン」
生ごみ減容率 | 記載なし |
生ごみの処理後の形態 | 約85%が水蒸気や炭酸ガスに分解 残りの一部が堆肥になる |
メンテナンス頻度 | 定期点検あり・要問合せ |
メンテナンス内容 | 要問合せ |
販売年数 | 17年(2004年~) |
乾燥式
「業務用(電気)
乾燥式生ごみ処理機」
生ごみ減容率 | 記載なし |
生ごみの処理後の形態 | 処理品 |
メンテナンス頻度 | 訪問定期点検・年1回 |
メンテナンス内容 | 要問合せ |
販売年数 | 記載なし |
Googleで「業務用生ごみ処理機」と検索して上位表示されたうち、100キログラムの処理能力を持つ機械の取り扱いがあるメーカー18社をピックアップ。
なかでも販売年数の高い会社(公式HPに販売年数を明記しているうち)の生ごみ処理機を、方式ごとに1社ずつ「おすすめの機種」として掲載しています。
※乾燥式のみ販売年数の明記のあるメーカーがなかったため、Google検索で上位かつ会社の創業年数が高い会社を選定しました。
※情報は2021年5月時点のものです。