飲食店経営において、SDGsや環境問題への取り組みは、企業のブランド価値を左右するだけでなく、原価管理やスタッフの労働環境にも直結する重要なテーマです。しかし、日々の忙しい営業の中で環境配慮の取り組みを持続させるためには、現場のオペレーションへの負担や資材コストの増加といった課題をクリアしなければなりません。
こちらの記事では、飲食業界におけるSDGsの先進事例の紹介、環境保護・コスト削減・衛生環境の向上を同時に実現する現実的な解決策について解説します。
飲食店を取り巻く環境問題の中で、特に早急な対応が求められているのが”食品ロス”と”プラスチックごみ”の2点と言えるでしょう。
食品ロスとは、まだ食べられる状態であるにもかかわらず廃棄される食品のことです。令和3年度の消費者庁の推計によると、日本国内の食品ロスは年間約523万トンにのぼります。そのうち、外食産業をはじめとする事業系からの排出量は約279万トンを占めています。
飲食店において食材を廃棄することは、仕入れ原価の損失を意味します。さらに、廃棄に伴うごみ処理費用の増加も招くため、店舗の利益率を直接的に圧迫する要因といえます。
※参照元:消費者庁PDF(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/pamphlet/assets/food_loss_guide_book_web_wide_data_7mb-firsthalf.pdf)
テイクアウト容器やストロー、カトラリーなど、飲食店は使い捨てプラスチックの主要な提供元となってきました。2022年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」により、事業者は使い捨てプラスチック製品の削減を法律レベルで求められるようになっています。脱プラへの対応は単なる環境配慮ではなく、企業としてのコンプライアンスの観点からも避けては通れない課題です。
SDGsへの対応はコストと捉えられやすいですが、適切に導入することで経営に大きなメリットをもたらします。主な3つの効果を見ていきましょう。
SDGsへの取り組みは、経営の効率化を見直す絶好の機会です。とりわけ食品ロスの削減は、仕入れ原価の無駄をなくし、利益率(フードコストの低減)の向上に直結します。端材を活用した新メニューの開発やデータに基づいた仕入れ量の最適化を行うことで、食材費を直接的に抑えることが可能です。
環境や社会課題に関心の高い層(ミレニアル世代やZ世代など)からの共感を生み、新たな顧客層の開拓につながります。環境に配慮した素材の導入や子ども食堂への支援など、店舗の取り組みをSNSや店頭で発信することで、”社会課題に真摯に向き合う信頼できる店舗”というブランドイメージの定着を見込めます。
社会貢献度の高いクリーンな企業姿勢は、求職者に対する強いアピールポイントになります。SDGsが掲げる「働きがいも経済成長も」という目標に基づき、適正な労働時間の管理や多様な人材が活躍できる環境を整備することは、スタッフの満足度向上に直結します。定着率が高まることで採用コストの削減にもつながり、慢性的な人手不足に悩む飲食業界において大きなアドバンテージとなるでしょう。
ここでは、大手チェーンや各種団体が実際に進めているSDGs対策の事例をご紹介します。
世界規模でプラスチックの過剰使用が問題視される中、マクドナルドは地球環境に配慮したサステナブルな社会を目指す取り組みを強化しています。
同社は安全性や使いやすさを考慮しながら代替素材の開発を進め、全国約2900店舗で紙製ストローや木製カトラリー(スプーン、フォークなど)を導入しました。この取り組みにより、年間でおよそ900トンのプラスチック削減を実現しています。
また、採用している紙や木材は環境に配慮したFSC®認証を取得したものであり、消費者からのフィードバックを重ねながらパッケージの改良を継続しています。
※参照元:マクドナルド公式サイト(https://www.mcdonalds.co.jp/company/news/2022/1004a/)
スターバックスは、使い捨て資材の削減に向けたアクションを日常的に推進している企業です。
全国の店舗でマイタンブラーやマイボトルの持ち込みを推奨しており、2019年度には約800万件のドリンク購入時に利用されました。使い捨てペーパーカップを利用した場合と比較すると、およそ26万kgのCO2排出量削減に相当します。これは、約3万本のスギの木が1年間で吸収するCO2の量と同等規模の環境保護効果を持ちます。
※参照元:スターバックスコーヒージャパン公式サイト(https://www.starbucks.co.jp/rewards/tumbler_thank_you/?srsltid=AfmBOoouda-AQrr3wgjZxewcOO7AFQJhYvVZX_K5vkUUnFt919JL4ZjT)
「塚田農場」などを運営する株式会社エー・ピーホールディングスは、デリバリー事業における”減プラ”の取り組みとして、環境負荷の少ないエコ包材への切り替えを進めています。
サトウキビの搾りかすであるバガスや竹、麦わらを混ぜ合わせた容器を主軸とし、汁物などにはバイオマス素材や生分解性プラスチックの蓋を組み合わせる工夫を取り入れました。LCA(ライフサイクルアセスメント)の観点から、従来のプラスチック容器と比較して80%以上の二酸化炭素排出量削減効果が期待できる画期的な事例です。
※参照元:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000436.000004635.html)
SDGsが掲げる目標には、環境問題の解決だけでなく「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」といった社会課題へのアプローチも含まれます。一般社団法人ロングスプーン協会は、飲食店が本業を通じて地域の子どもの食を支援できるフードリボンプロジェクトを展開しています。
参加店舗は1つ300円のオリジナルリボンを販売し、来店客が購入したリボンを店内のボードに掲示する仕組みです。地域の子どもたちはそのリボンを提示すれば、無料で1食分の食事と交換できるようになっています。
食品ロス削減などの環境対策と併せてこうした活動を取り入れることで、店舗側は日々の営業オペレーションを崩すことなく、地域における食のセーフティネット構築(SDGsの社会面への貢献)を実現することができます。
※参照元:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000116992.html)
理想的なSDGs施策であっても、飲食店の現場では構造的な難しさに直面するケースが多々あります。ここでは、現場の課題について整理して見ていきましょう。
食べ残しの持ち帰りを推奨するmottECOなどのアクションは食品ロス削減に有効ですが、持ち帰り後の保管状況によっては食中毒のリスクが懸念されます。特に高温多湿な季節は危険性が高く、来店客への同意確認や丁寧な説明が必須となるため、ホールスタッフの業務負荷が増加する点がネックです。
環境配慮型のパッケージやカトラリーは環境保護に直結しますが、従来のプラスチック資材よりも単価が高く設定されているケースがほとんどです。月々のランニングコストが上昇し、利益率を圧迫してしまう恐れがあるため、メニュー価格への転嫁を含めた慎重なバランス調整が求められます。
どれほど素晴らしい環境への取り組みであっても、従業員のオペレーションを煩雑にしたり、経営を圧迫したりする仕組みであれば、真のサステナブル経営とは呼べません。そこで注目を集めているのが、日々の業務負担を減らしながら環境保護にもつながる、業務用生ごみ処理機です。
業務用生ごみ処理機は、現場の負担を増やさずにコスト削減と環境保護を両立できるスマートなインフラ設備です。導入によって得られる具体的なメリットを解説します。
業務用生ごみ処理機で食品残渣の水分を飛ばして減容、あるいは微生物で分解することにより、日々の生ごみの量を劇的に減らすことができます。重量ベースで課金されることの多い事業系ごみの処理費用を大幅に圧縮できるのが最大の強みです。自治体によっては購入金額の一部を補助する助成金制度も用意されているため、初期費用の回収期間を短縮できます。
水を含んだ重い生ごみを運ぶ作業は重労働であり、スタッフの身体的負担になります。処理機を導入すればごみ出しの労力が減るだけでなく、生ごみによる店舗の悪臭やコバエ・ネズミといった害虫・害獣の発生源を根本から絶つことが可能です。厨房の衛生環境が向上することは、飲食店としての根幹を守ることにもつながります。
生ごみ処理機から生成された堆肥(コンポスト)を契約農家に提供し、そこで育った野菜を再び店舗のメニューとして提供する「食品リサイクルループ」の構築も可能です。単に捨てるのではなく資源として再利用するこの取り組みは、SDGsの理念を体現する強力なPR材料になります。
各施策の特徴と課題を比較表にまとめました。業務用生ごみ処理機は初期費用がかかるものの、長期的な廃棄コスト削減とスタッフの負担軽減という観点で、非常にバランスの優れた投資と言えるでしょう。
| 取り組み内容 | スタッフのオペレーション負荷 | 経営への直接的メリット | SDGs・PRへの貢献度 |
|---|---|---|---|
| 脱プラ資材への転換 | 少ない(資材を変えるのみ) | 資材コスト増が課題 | 高い(視覚的に伝わりやすい) |
| 食べ残し持ち帰り(mottECO) | 多い(説明や衛生リスク管理) | 廃棄費用がやや減少 | 高い(消費者参加型の啓発) |
| 業務用生ごみ処理機の導入 | ほぼゼロ(機器に投入するだけ) | 廃棄コスト削減・衛生環境の向上 | 極めて高い(循環型社会の構築) |
飲食店のSDGs対応は、単なる社会貢献のアピールにとどまらず、店舗の健全な利益確保やスタッフの働きやすさと両立して初めて持続可能なものとなります。目に見えやすいエコ資材への切り替えだけでなく、バックヤードにおける生ごみ処理機のような、確実なコスト削減を伴うスマートなインフラ投資を検討してみてください。
まずは自店舗における生ごみの排出量を把握し、処理機の導入によってどの程度の廃棄コスト削減が見込めるのか、具体的な数値のシミュレーションから着手することが持続可能な経営への第一歩となります。
以下のページでは、業務用生ごみ処理機の導入に活用できる助成金制度の詳細や、飲食店に適したおすすめの機器を詳しく解説しています。設備投資を検討する際の判断材料としてあわせてお役立てください。
消滅型「ゴミサー/ゴミサポーター」
| 生ごみ減容率 | 99.9% |
| 生ごみの処理後の形態 | 水と炭酸ガスに分解 |
| メンテナンス頻度 | 特殊なメンテナンス必要なし |
| メンテナンス内容 | ー |
| 販売年数 | 25年(1997年~) |
堆肥型「バイオクリーン」
| 生ごみ減容率 | 記載なし |
| 生ごみの処理後の形態 | 約85%が水蒸気や炭酸ガスに分解 残りの一部が堆肥になる |
| メンテナンス頻度 | 定期点検あり・要問合せ |
| メンテナンス内容 | 要問合せ |
| 販売年数 | 17年(2004年~) |
乾燥式
「業務用(電気)
乾燥式生ごみ処理機」
| 生ごみ減容率 | 記載なし |
| 生ごみの処理後の形態 | 処理品 |
| メンテナンス頻度 | 訪問定期点検・年1回 |
| メンテナンス内容 | 要問合せ |
| 販売年数 | 記載なし |
Googleで「業務用生ごみ処理機」と検索して上位表示されたうち、100キログラムの処理能力を持つ機械の取り扱いがあるメーカー18社をピックアップ。
なかでも販売年数の高い会社(公式HPに販売年数を明記しているうち)の生ごみ処理機を、方式ごとに1社ずつ「おすすめの機種」として掲載しています。
※乾燥式のみ販売年数の明記のあるメーカーがなかったため、Google検索で上位かつ会社の創業年数が高い会社を選定しました。
※情報は2021年5月時点のものです。